写真からよみがえる
ふるさとの100年の歩み
兵庫県―尼崎市
近年、世界遺産・日本遺産の認定や文化財の指定などにより、歴史遺産が保存・活用されている。これらは行政が学術的、芸術的価値付けをし、トップダウンで認定・指定するものである。一方で、その地域に生まれ、暮らしている人々が大切に守り伝えてきた「地域歴史遺産」も数多く存在している。ある人が「これはこの地域の歴史や文化を理解するために大事なものだ」と思えば、それが地域歴史遺産になる。「そこに『ある』ものではなく、人々の思いによって地域歴史遺産に『なる』もの」なのだ。
多くの市民の皆さまからお寄せいただいた写真は、まさに地域歴史遺産である。そこに写る人や物、風景は、撮影者が記録に残そうと思ってカメラを向けたものである。その写真には、喜びや悲しみ、時には香りなど多くの記憶が伴っていたに違いない。何気ない日常の記憶は、記録しなければやがて消えてしまうが、一枚の写真はこれらの記憶を強く呼び起こすことができる。
本書は、尼崎市立歴史博物館の学芸員、アーキビストの皆さん、市内で活躍されている皆さんに写真の解説を執筆いただいた。尼崎市立歴史博物館は、公文書館と博物館の二つの機能を併せ持つ施設で、尼崎市内の歴史資料を多く所蔵し、デジタルアーカイブス化を進めている。本書の刊行をきっかけに、尼崎市100年の記憶が呼び起こされ、未来に遺る地域歴史遺産となれば、望外の喜びである。(巻頭言より)
〈監修〉
大江 篤/園田学園大学学長
〈執筆〉
江田政亮/貴布禰神社宮司
香山明子/尼崎南部再生研究室研究員
久保庭萌/尼崎市立歴史博物館あまがさきアーカイブズ
高野那菜/尼崎市立歴史博物館あまがさきアーカイブズ
高見彰彦/鉄道史愛好家
谷口雅美/作家
西村豪/尼崎市立歴史博物館あまがさきアーカイブズ
三和田勇真通/尼崎市立歴史博物館
桃谷和則/尼崎市立歴史博物館
判 型 A4判、上製本
頁 数 280頁(カラーページ24頁)
発売日 2025年8月8日
本体価格 11,000円+税
ISBN 978-4-911023-14-3
■目次■
巻頭 カラー写真で見る 尼崎市のすがた
序章 明治の風景
1 大尼崎へのあゆみー大正から昭和初期の尼崎
2 軍靴の響きー戦前・戦時中のくらし、教育
特集 銃後における園田高女
3 戦後尼崎市の歩みー絶え間ない都市課題への挑戦
4 街並みの移り変わりー交通機関の発達と共に
特集 祭りとだんじり
5 産業の移り変わりー農漁業から商工業、そして物流拠点へ
特集 水辺のくらし
6 学び舎の思い出
特集 鉄道
7 災害の爪あとー室戸台風から平成の災害まで
特集 阪神・淡路大震災と文化財保護、歴史資料保全
8 くらしのスナップー人びとの営み
特集 子どもたちの笑顔
尼崎の近現代略年表
尼崎の地理・交通図












